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不良品低減と歩留改善|原因分析と打ち手の優先順位

導入・進め方

不良品低減と歩留改善|原因分析と打ち手の優先順位

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この記事を読むとわかること

不良率と歩留率は似て非なる2指標で、それぞれ別の改善対象を示します。原因分析はQC7つ道具とAI多変量解析の両輪で進めます。機械学習で「事後検知」から「事前予測」へ移行できる時代ですが、アルゴリズムよりデータ品質の方が10倍重要です。改善優先順位は頻度・影響度・対策容易性の3軸で判断します。読み終える頃には、自社の改善着手順序が判断できるようになります。

不良率と歩留率は似て非なる2指標

製造業で混同されがちな2つの指標があります。不良率は不良数÷生産数で計算され、不良の絶対数に焦点を当てます。歩留率は良品数÷投入材料で計算され、材料の有効活用に焦点を当てます。

「不良率1%=歩留率99%」とはなりません。歩留率には材料ロス・廃材・工程内ロスが含まれるため、より広い概念となっているからです。不良率を改善するだけでは歩留率は上がらないため、両指標を分けて理解することが、改善方針を立てる出発点になります。

経済産業省「2025年版 ものづくり白書」でも、両指標の改善が中小製造業の課題として挙げられています。不良率は顧客クレームに直結する指標、歩留率は内部のコスト指標、という性質の違いを理解すると、優先順位の判断もしやすくなります。

原因分析はQC7つ道具とAI多変量解析の両輪

不良・歩留悪化の原因分析には伝統的なQC7つ道具と現代のAI手法を組み合わせるのが基本です。

QC7つ道具としては、不良要因の優先順位を示すパレート図、原因の構造化を行う特性要因図(魚骨図)、ばらつきの分布を見るヒストグラム、2変数の関係を見る散布図、工程の安定性を見る管理図、データ収集のためのチェックシート、条件別の分析を行う層別、という伝統手法があります。これらは個人レベルでも実施でき、原因のあたりをつける段階で強力な道具になります。

AIによる原因分析としては、複数要因の同時影響を定量化する多変量解析、過去データから不良パターンを学習する機械学習、平常時との逸脱を自動検出する異常検知、といった手法が活用できます。QC7つ道具で見えてきた仮説をAIで定量検証する、という両輪での進め方が効率的です。日本機械学会論文集には、不良検知関連の研究が豊富に蓄積されています。

機械学習で事後検知から事前予測へ移行する

機械学習を使うと「事後検知」から「事前予測」が可能になります。

AI による不良予測の実装フロー
1
Step 1

データ収集

工程パラメータと不良/良品ラベル

2
Step 2

特徴量設計

温度・湿度・速度等の重要変数特定

3
Step 3

モデル学習

Random Forest・XGBoost等

4
Step 4

リアルタイム予測

工程進行中に不良確率を表示

5
Step 5

事前介入

パラメータ調整・作業再確認

実装には最低6ヶ月の過去データが必要です。データが整っていれば精度80%以上は十分狙えます。ただし機械学習プロジェクトの成否を分けるのは、アルゴリズムでなくデータ品質です。ノイズが多い・欠損が多い・サンプリング頻度が低い、こうしたデータ品質の問題があると、どんな高度なモデルを使っても結果が出ません。アルゴリズムよりデータ品質に10倍の労力を割く、というのが研究現場の常識でもあります。

改善優先順位を3軸で判断する

すべての不良を一度に潰すのは無理なので、優先順位の付け方を整理します。判断軸は3つです。頻度(月に何件発生するか)、影響度(1件あたりの損失額)、対策容易性(改善実装の難しさ)の3軸を掛け算して、スコア化するアプローチです。

頻度高×影響度高×容易なものは即着手、頻度高×影響度低のものは改善後回しもあり、頻度低×影響度高のものはリスクとして警戒する、という整理になります。全件平等に対応しようとすると改善リソースが分散して効果が出ないため、3軸での優先順位付けは現実的な改善設計の前提です。

不良削減プロジェクトが失敗する3つの真因

製造現場で不良削減プロジェクトに関わると、3つの典型的な落とし穴を見ます。

第一に目標値だけが先行することです。「来月までに不良率半減」と号令だけ出すと、現場は数値隠しや報告ごまかしに走り、原因分析がスキップされてしまいます。目標値の前に、原因分析の進め方とリソース配分を設計することが必須です。

第二にデータが取れていないことです。不良発生時の工程パラメータが記録されていないと、再現が難しく対策も曖昧になります。データ収集体制の整備は、改善プロジェクトの前提条件として最優先で取り組むべき領域です。

第三に改善が属人化することです。ベテランが原因を勘で当てて対策を打つと、属人化したまま改善知見が組織に残りません。データ駆動の分析プロセスを標準化し、改善知見を文書化することで、組織として学習する仕組みを作ることが、長期的な競争力につながります。

歩留改善は不良削減より広い視点が必要で、材料投入時の最適化、工程内ロス、段取り時の試打ち、規格外品の良品リカバー可能性、といった観点も含まれます。日本品質管理学会(JSQC)の議論でも、歩留改善は単独施策では限界があり、設計・購買・生産・品質が連携する必要があると指摘されています。

よくある質問

Q1. 不良率と歩留率、どちらを優先すべきか

顧客クレームに直結する不良率を優先するのが基本です。歩留率は内部のコスト指標であり、不良率対策と並行で改善するのが現実的です。

Q2. データが少なくてもAIで不良予測できるか

6ヶ月以上のデータが理想です。それ未満であれば、まずデータ収集体制から始めるべきです。AI導入を急ぐより、データ品質の方が重要です。

Q3. 中小製造業はどこから着手すべきか

日次不良率の見える化から始め、パレート分析で上位3要因を特定し、特性要因図で原因を深掘りし、対策の優先順位付けに進む、という4ステップが土台です。AIはその後で構いません。


主な引用元

日本品質管理学会(JSQC)日本機械学会論文集A編(J-STAGE)人工知能学会論文誌(J-STAGE)


Delight Flowでは、不良削減のデータ分析支援、機械学習による不良予測PoCを行っています。無料診断実施中です。お気軽にご相談ください

最後までお読みいただきありがとうございました。

代表取締役 村田 凌

執筆者

村田 凌

株式会社Delight Flow 代表取締役CEO

外資系コンサルティングファームにて金融会社のサイバーセキュリティ戦略構築支援に従事した後、東京大学にてAIの研究に取り組む。現在は工学系研究科博士課程に在籍。国際論文誌、学会誌での受賞歴を多数持つ。

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