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不良削減の進め方|原因分析・ポカヨケ・歩留まり改善まで

導入・進め方

不良削減の進め方|原因分析・ポカヨケ・歩留まり改善まで

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<!-- 想定ニーズ(ジョブ): 不良を減らしたいが、何から手をつければいいか・どの不良を先に潰すかを判断したい。 満たし方: 不良率/歩留率の違い→原因の切り分け(4M)→深掘りの道具→減らす手順→ポカヨケ→工程能力→優先順位、を現場が着手できる順で提示。読後に着手順序が判断できる状態。 促すアクション: 自社の上位不良をパレートで特定し、当てどころ(ボトルネック工程)から着手。整理が難しければ相談。 -->

不良削減の進め方|原因分析・ポカヨケ・歩留まり改善まで

この記事を読むとわかること

不良削減は「原因を勘で当てる」から「データで切り分けて手順化する」へ移すほど安定します。不良率と歩留率は別の指標で、改善の対象も異なります。原因は4M(人・機械・材料・方法)で切り分け、特性要因図・なぜなぜ分析・パレート図で深掘りします。ポカヨケで「起こさない・流さない」仕組みに変え、工程能力指数で安定度を数値化します。どの不良から潰すかは頻度・影響度・容易性の3軸で決めます。読み終える頃には、自社の着手順序が判断できるようになります。

不良削減と歩留まり改善は何が違うのか

不良を減らす話をするとき、不良率と歩留率はよく混同されます。まず、この2つを分けて理解することが改善方針の出発点になります。

不良率は「不良数 ÷ 生産数」で、作った製品のうち規格を外れた割合を示します。顧客クレームや流出リスクに直結する指標です。一方の歩留率は「良品数 ÷ 投入量」で、投入した材料がどれだけ良品として仕上がったかを示します。こちらは社内のコスト指標です。

両者は一致しません。歩留率には、不良として計上される前の材料ロス・端材・段取り時の試打ち・工程内で消える分まで含まれるためです。つまり不良率だけを下げても歩留率は上がりきりません。

観点不良率歩留率
計算不良数 ÷ 生産数良品数 ÷ 投入量
見ているもの規格外品の割合材料の有効活用
主な性質顧客・流出リスクの指標社内コストの指標
含む損失不良品不良+材料ロス・端材・試打ち等

歩留まり改善は不良削減より視野が広く、設計・購買・生産・品質が連携しないと動きません。この記事では、まず土台になる不良削減の進め方を軸に、歩留まりの観点も合わせて扱います。品質全体の地図は製造業の品質管理を整理するにまとめています。

不良はなぜ起きるのか|4Mで原因を切り分ける

不良の原因を「作業者のミス」で片付けると、対策が「注意喚起」で止まり、また同じ不良が出ます。原因は、まず4Mという枠で切り分けるのが定石です。

区分見る対象よくある原因の例
Man(人)作業者の技能・判断・体調手順の解釈違い、教育不足、疲労
Machine(設備)機械・金型・治具の状態摩耗、調整ずれ、経時変化
Material(材料)材料・部品・ロット材料ばらつき、ロット差、保管劣化
Method(方法)作業手順・条件設定標準の不備、条件が現物と合っていない

必要に応じてMeasurement(測定)とEnvironment(環境)を足し、5M+1Eまで広げます。測定器の誤差や温湿度の変動が効く工程では、この2つを外すと原因を取り違えます。

ここで押さえたいのは、人のミスに見えても真因は「方法」にあることが多いという点です。誰がやっても間違えられる手順なら、それは作業者ではなく手順の問題です。原因を人に寄せず、機械・材料・方法へ切り分けるほど、再発しない対策に近づきます。この視点は現場改善・5S・ヒヤリハットの考え方とも重なります。

原因を深掘りする3つの道具

4Mで大枠を切り分けたら、次は原因を掘り下げます。現場で個人でも使える基本の道具が3つあります。

  • パレート図:不良を項目別に多い順で並べ、上位数件で全体の大半を占める構造を可視化します。「どの不良から潰すか」を最初に決める道具です。
  • 特性要因図(フィッシュボーン):一つの不良に対し、4Mの枝で要因を書き出し、原因の全体像を構造化します。抜け漏れなく候補を洗い出す道具です。
  • なぜなぜ分析:一つの要因に「なぜ」を繰り返し、表面の現象から真因へ降ります。「注意する」で止めず、手順や設備の設計まで掘る道具です。

使う順序は、パレート図で対象を絞り、特性要因図で候補を広げ、なぜなぜ分析で真因まで降りる、という流れが噛み合います。いずれも品質管理の基本で扱うQC7つ道具の一部で、AIを入れる前に必ず通る土台です。

不良を減らす手順|着手の5ステップ

原因分析の道具がそろったら、改善は次の順で回します。目標値を先に叫ぶのではなく、測る→絞る→掘る→直す→固める、の順です。

1
Step 1

現状を測る

不良率・歩留率を工程別/ロット別/時間帯別に記録する

2
Step 2

対象を絞る

パレート図で上位の不良に的を絞る

3
Step 3

真因を掘る

特性要因図となぜなぜ分析で4Mから真因へ

4
Step 4

対策を打つ

手順・条件・治具・ポカヨケを直す

5
Step 5

標準に固める

効いた対策を標準作業と教育に落とし再発を防ぐ

Step 1でつまずく現場が最も多く見られます。不良発生時の工程パラメータ(温度・圧力・速度・材料ロット)が記録されていないと、Step 3で再現できず、対策が勘に戻ります。データ収集の体制づくりは、華やかではありませんが改善全体の前提条件です。

Step 5を飛ばすと、対策が個人の頭に残ったまま組織に定着しません。効いた手を標準作業へ落とし、教育で共有して初めて再発が止まります。この「標準に固める」思想はISO 9001が求める仕組み化とも一致します。

ポカヨケで「起こさない・流さない」に変える

なぜなぜ分析で真因まで降りたら、対策は「気をつける」ではなくポカヨケ(ミスが起きない・流れない仕組み)に落とすのが原則です。ポカヨケはトヨタ生産方式由来の考え方で、大きく3種類に整理できます。

種類働き
規制型(防止)そもそもミスができない向きが違うと物理的にはまらない治具
警告型(検知)ミスをその場で知らせる部品の取り付け漏れでランプ・ブザー
制御型(停止)異常時に工程を止める規格外を検知したら次工程へ流さず停止

最も効果が高いのは、ミス自体を成立させない規制型です。注意喚起や目視ダブルチェックは人の集中力に依存するため、効果が安定しません。「誰がやっても間違えられない」形へ設計を寄せるほど、不良は構造的に減ります。

工程能力で「安定して良品が出るか」を数値化する

対策を打った後、「たまたま良かった」のか「安定して良品が出る状態になった」のかを区別する物差しが**工程能力指数(Cp・Cpk)**です。規格の幅に対して工程のばらつきがどれだけ収まっているかを数値で表します。

一般に次の水準が管理の目安とされます(あくまで目安で、要求は製品・顧客規格によって変わります)。

Cpk の目安状態の見方
1.33 以上十分な能力があり安定と判断されることが多い
1.00〜1.33能力はあるが余裕が乏しく、平均が動くと不良が出やすい
1.00 未満規格に対しばらつきが大きく、工程の見直しが必要

重要保安部品・医療機器・航空宇宙などでは、より高い水準を求められます。数値の絶対値より、同じ指標を継続して追い、対策の前後で変化を見る使い方が実務では効きます。工程能力の位置づけは工程管理とはでも扱っています。

AIは不良削減のどこに効くのか

ここまでの4M・ポカヨケ・工程能力は、AIがなくても回せる土台です。そのうえで、AI(外観検査・異常検知)を足すかどうかは、当てどころで決まります。

第一に、まず確認したいのは「これはAI以前の問題では」という点です。標準の不備や治具の設計で減る不良に画像認識を持ち込んでも、費用だけが積み上がります。業務フローと4Mを直して残った不良、つまり人が見逃す・ばらつきが読みきれない領域にこそ、AIを回します。順番を逆にすると、導入自体が目的化します。

第二に、AIは不良が出ている工程=ボトルネックに当てて初めて数字が動きます。全体のスループットは一番能力の低い工程で決まるため、詰まっていない工程の検査を自動化しても、良品の産出は増えません。上位不良(パレートの先頭)が発生している工程を選ぶことが先決です。

第三に、外観検査や機械学習による異常検知で現場を動かすのは、判定の当たり外れよりも**「なぜ不良と判断したか」を工程条件に紐づけて説明できること**です。良品/不良のラベルを返すだけのモデルは、現場が原因に手を打てません。どの変数が効いたかを示し、Step 3の原因分析へ返せて初めて改善が前に進みます。判断の精度より、説明可能性を採用条件に置く理由がここにあります。

なお、機械学習で「事後検知」から「事前予測」へ移す場合、成否を分けるのはアルゴリズムよりデータ品質です。ノイズや欠損が多いデータでは、どんなモデルでも結果は出ません。AI活用全体の地図は製造業のAI・機械学習ガイドにまとめています。

改善の優先順位はどう決めるか

すべての不良を一度に潰すのは無理です。リソースを分散させないために、3軸で優先順位を付けます。

  • 頻度:月に何件発生するか
  • 影響度:1件あたりの損失額(手直し・廃棄・クレーム対応)
  • 容易性:対策の実装しやすさ

この3軸を掛け合わせてスコア化し、着手順を決めます。

頻度影響度容易性判断
即着手
効果を見て着手
リスクとして監視・予防
当面は保留

全件を平等に扱うと、どれも中途半端に終わります。パレートの先頭かつ影響度が高く、対策が打ちやすいものから着手するのが、現実的な改善設計の前提です。

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よくある質問

Q1. 不良率と歩留率、どちらを優先すべきか

顧客クレームや流出に直結する不良率を優先するのが基本です。歩留率は社内コストの指標で、不良率対策と並行して改善するのが現実的です。両者は一致しないため、指標を分けて追います。

Q2. まず何から着手すればよいか

不良率を工程別・ロット別に記録し、パレート図で上位数件に絞ることから始めます。対象を絞ってから特性要因図となぜなぜ分析で真因に降り、対策を標準に固める順序が土台になります。

Q3. 「作業者のミス」で終わらせないコツは

原因を人に寄せず、4M(人・機械・材料・方法)へ切り分けます。誰がやっても間違えられる手順なら、真因は方法や治具の設計にあります。対策は注意喚起でなくポカヨケに落とすのが原則です。

Q4. データが少なくてもAIで不良予測できるか

過去データが乏しい段階では、まず記録の体制づくりが先です。工程条件と良品/不良ラベルがそろわないと、モデルは学習できません。AI導入を急ぐより、データ品質を整える方が結果に効きます。

Q5. 工程能力指数はどう使えばよいか

Cpk 1.33以上が安定の目安とされますが、要求水準は製品・顧客規格によって変わります。絶対値の合否より、対策の前後で同じ指標を追い、ばらつきが縮まったかを見る使い方が実務では有効です。

Q6. AIは不良削減のどこに入れるべきか

4Mや標準化で減る不良を先に潰し、残った「人が見逃す・ばらつきが読めない」領域に入れます。かつ不良が出ている工程(ボトルネック)に当てること、判定だけでなく原因を説明できることを条件にします。


不良削減は、原因を勘で当てる状態から、データで切り分けて手順に固める状態へ移すほど安定します。どの工程にAIが効くか、あるいはそもそもAIより先に直すべき手順は何かの見極めが難しい場合、Delight Flowでは製造現場に絞ってご相談を伺っています。整理したい論点があれば、初回相談(無料)でお話しください。ご相談はこちら

代表取締役 村田 凌

執筆者

村田 凌

株式会社Delight Flow 代表取締役CEO

外資系コンサルティングファームにて金融会社のサイバーセキュリティ戦略構築支援に従事した後、東京大学にてAIの研究に取り組む。現在は工学系研究科博士課程に在籍。国際論文誌、学会誌での受賞歴を持つ。

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