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生産計画とは|目的・種類・立て方を実務目線で解説

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生産計画とは|目的・種類・立て方を実務目線で解説

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<!-- 想定ニーズ(ジョブ): 「生産計画とは何か」を正しく理解し、自社の計画運用がどこまでできているかを判断したい。 満たし方: 定義・目的・種類・立て方・課題を一通り押さえ、読後に自社の現状階層を客観評価できる状態にする。 促すアクション: 自社の計画運用の弱点を特定し、次に学ぶテーマ(システム・APS・ピラー)へ進む。 -->

生産計画とは|目的・種類・立て方を実務目線で解説

この記事の要点

  • 生産計画とは、何を・いつ・どれだけ・どの設備で・どの資源で作るかを決める活動です。
  • 期間の長さで大日程・中日程・小日程の3階層に分かれ、それぞれ目的と更新頻度が異なります。
  • 立て方は「需要予測 → 基準生産計画 → 資材所要量計算 → 負荷・能力計画 → 日程計画」の5ステップが基本です。
  • 精度を追う前に、まず業務フローを書き出してボトルネック工程を特定すると、どこを直せば全体が動くかが見えます。

生産計画の担当に着任すると、大日程・中日程・小日程やMPS、MRPといった用語が一度に押し寄せます。この記事では、生産計画とは何かという定義から、目的・種類・立て方・よくある課題までを順に整理します。読み終える頃には、自社の運用がどの階層まで機能しているかを客観的に確認でき、次に学ぶべきテーマへの導線が見えます。

生産計画とは何を決める活動か

生産計画とは、受注や需要予測をもとに、どの製品を・いつ・どれだけ・どの設備で作るかを決め、その実現に必要な人員や材料を手配する活動です。決める中身を分解すると、次の5つの要素に整理できます。

要素決めること
何を(品目)生産する製品・品種製品A、部品B
いつ(時期・納期)着手日と完了日6月1日着手・6月10日完了
どれだけ(数量)ロットサイズ・生産数500個
どこで(設備・工程)使う設備・ライン第2ライン
何で(資源)人員・材料の手配作業者3名、鋼材の必要量

この5要素を過不足なく決めることが、生産計画の出発点です。逆に、このどれかが曖昧なまま現場に指示が流れると、材料の欠品や設備の取り合いが起き、納期遅れや残業として表面化します。

生産計画の5つの目的

生産計画は、次の5つの目的を同時に満たすために立てます。単に「作る順番を決める」ことではなく、複数の制約を両立させる調整活動という点が本質です。

  • 納期遵守:顧客と約束した納期に間に合う日程を組む
  • 資源の準備:材料・人員・設備稼働率を事前に確保する
  • 在庫の適正化:作りすぎによる過剰在庫と、欠品による機会損失の両方を抑える
  • 原価の安定:段取り替えや残業を減らし、コストのばらつきを抑える
  • 品質の維持:無理な詰め込みによる不良の発生を防ぐ

生産計画と生産管理・製造計画は何が違うのか

似た言葉が多く、着任直後は混同しやすい領域です。関係を整理すると次のようになります。

  • 生産管理:品質・コスト・納期を管理する業務全体を指す包括概念です。この中に生産計画が含まれます。
  • 生産計画:生産管理の一部で、「何を・いつ・どれだけ作るか」を決める計画の工程です。
  • 製造計画:生産計画で決めた内容を、現場の作業レベル(工程・設備・人)に落とし込んだ計画を指す場合が多い用語です。企業によっては小日程計画とほぼ同義で使われます。

つまり生産管理が最も広く、その中に生産計画があり、さらにその実行段階として製造計画(現場の作業計画)が位置づけられる、という入れ子の関係です。

生産計画の種類|大日程・中日程・小日程の3階層

生産計画は一枚岩ではなく、対象とする期間の長さで3階層に分かれます。それぞれ目的も更新頻度も異なるため、自社がどの階層まで運用できているかを確認することが、現状把握の第一歩になります。

なお、各階層が対象とする期間は文献や企業によって幅があり、下表は一般的な目安です。

区分対象期間の目安主な決定事項更新頻度の目安
大日程計画半年〜1年程度設備投資・人員計画・大枠の生産量月次〜年次
中日程計画1〜3ヶ月程度製品別の生産量・材料/人員手配月次〜週次
小日程計画1日〜1ヶ月程度工程別の作業指示・作業順序日次
大日程

経営計画レベル

半年〜1年程度

  • 目的設備投資・人員計画
  • 更新月次〜年次
  • 担当経営層・生産管理部長
中日程

基準生産計画レベル

1〜3ヶ月程度

  • 目的受注対応・能力配分
  • 更新月次〜週次
  • 担当生産管理責任者
小日程

実行計画レベル

1日〜1ヶ月程度

  • 目的現場への作業指示
  • 更新日次
  • 担当現場リーダー・班長

中小製造業で起こりやすいのは、大日程と小日程は何となく回っているものの、両者をつなぐ中日程計画が機能していない状態です。中日程がないと、設備投資の判断も現場の作業指示もその場しのぎになり、月末になって慌てて残業で帳尻を合わせる、というパターンに陥ります。中日程計画は経営と現場をつなぐ要であり、最初に点検したい階層です。

見込み生産と受注生産で計画の起点が変わる

同じ生産計画でも、生産方式によって計画の起点が変わります。自社がどちらに当たるかで、精度を高めるべきポイントが違ってきます。

  • 見込み生産:需要予測をもとに、受注を待たずに作り置きする方式です。予測が外れると過剰在庫や欠品に直結するため、需要予測の精度が計画の質を左右します。日用品や標準品に多く見られます。
  • 受注生産:注文を受けてから生産する方式です。在庫リスクは小さい一方、受注が来てから納期までの時間が限られるため、負荷の山谷をならす調整力が問われます。個別受注品や設備品に多く見られます。

多くの中小製造業は、標準品は見込み、特注品は受注という混在型で運用しています。この場合、見込み分と受注分が同じ設備を取り合うため、両者をどう1本の計画に統合するかが難所になります。

生産計画の立て方|5つのステップ

生産計画を立てる手順は、大きく5つのステップに分けられます。上流ほど期間が長く粗く、下流ほど短く細かくなっていきます。

  1. 需要予測・受注の把握:過去の実績や受注残から、どの製品がどれだけ必要かを見積もり、大日程の生産量を決めます。
  2. 基準生産計画(MPS)の作成:「いつ・どの製品を・どれだけ作るか」を製品単位で確定します。MPS(Master Production Schedule)は中日程計画の中核であり、ここが固まらないと下流のすべてが動きません。
  3. 資材所要量計算(MRP):MPSを実現するために必要な部品・材料の量を、BOM(部品表)に基づいて逆算します。手元在庫と発注残を差し引いて、正味の発注量と発注時期を決めます。
  4. 負荷・能力計画:各工程に必要な工数と、設備・人員の能力を突き合わせます。特定の工程に負荷が集中していれば、前後の期間へ作業を移す「山崩し(負荷平準化)」で調整します。
  5. 日程計画・順序計画:小日程レベルで、どの設備でどの順番に作業するかを確定します。着手日を起点に前から積む「フォワードスケジューリング」と、納期から逆算する「バックワードスケジューリング」があり、納期厳守が重要な現場ほど後者を軸にします。

MPSとMRPは独立した別物ではなく、「何を作るか(MPS)」と「そのために何が要るか(MRP)」の連動関係です。この対応を押さえておくと、各種の生産管理システムAPS(生産スケジューラ)が持つ機能を読み解きやすくなります。なお、負荷計画の精度は各工程の標準時間の整備度に依存するため、工数管理工程管理の土台があって初めて機能します。

生産計画でよくある3つの課題

多くの製造現場で共通して見られる課題は、次の3つに集約されます。

  • 計画変更への対応の遅さ:受注変更、設備故障、材料の納期遅れといった外乱は日常的に起きます。計画を組み直す作業に半日以上かかると、現場は古い指示のまま動き続け、手戻りが生じます。
  • 予測精度の不足:見込み生産で予測が外れると、過剰在庫か欠品のどちらかが発生します。予測を当てにいくほど工数が増える一方、外れる前提でバッファを持つ設計もあり、両者のバランスが問われます。
  • 計画立案の属人化:ベテラン1人が頭の中で組んでいる状態は、平時は効率的でも、その人が休むと計画が止まります。技術継承が進まない中小製造業ほど、この属人化がボトルネックになりやすい傾向があります。

AIやシステムを入れる前に、まず業務フローを見直す

計画立案が大変だという声を聞くと、すぐにシステムやAIによる自動化が解決策として挙がります。しかし、その前に確認したいことがあります。計画が回らない原因が、ツールの不足ではなく、業務フロー自体にある場合が少なくないためです。

生産計画の目的は、限られた能力を最も効く工程に振り向けることにあります。ここで手がかりになるのが、工程の流れを1本書き出してみる作業です。受注から見積、着手、各工程、出荷までを並べ、それぞれ「何日待ちが発生しているか」を書き込みます。最も待ちが長い工程が、全体の生産量の上限を決めるボトルネックです。

このとき効いてくるのが、全体のスループットはボトルネック工程の能力で決まる、という考え方です。余力のある工程の計画をいくら精緻に組んでも、ボトルネックが放置されていれば、全体の産出量は変わりません。逆に言えば、計画の精度を全工程で均等に上げる必要はなく、ボトルネックの前後だけを重点的に管理すれば、少ない労力で全体が動きます。

システムやAIの導入は、この見立てが済んだ後に検討する順番が有効です。ボトルネックがどこかも分からないまま自動化を入れると、詰まっていない工程だけが速くなり、費用はかかったのに納期も売上も変わらない、という結果になりかねません。まず業務フローとボトルネックを押さえ、その上で自動化が必要かを判断する。この順序が、投資を無駄にしないための現実的な進め方です。

生産計画を強化する次の一歩

ここまでの整理を踏まえると、自社の生産計画を強化する道筋は3つの方向に分かれます。

1
方向1

中日程計画の確立

基準生産計画(MPS)の仕組みを作り、月次・週次の更新を習慣化する

2
方向2

マスタデータの整備

BOM・工程・標準時間のマスタを整え、所要量と負荷計画の精度を上げる

3
方向3

自動化・最適化の検討

立案の負荷が大きい場合に、スケジューラやAIで変更対応を速くする

中日程が機能していない企業はまず方向1から、マスタが未整備な企業は方向2から、計画立案に毎回1日以上かかっている企業は方向3を検討する、という順で考えると整理しやすくなります。それぞれの詳細は、生産管理システムの選び方APS(生産スケジューラ)とは、そして全体像をまとめた生産計画AIの完全ガイドで扱います。

よくある質問

Q1. 生産計画と生産管理は何が違いますか

生産計画は「何を・いつ・どれだけ作るか」を決める活動、生産管理はその実行を統制し品質・コスト・納期を管理する業務全体です。生産管理が包括概念で、その中に生産計画が含まれる関係になります。

Q2. 大日程・中日程・小日程はどう使い分けますか

大日程は半年〜1年の設備・人員計画、中日程は1〜3ヶ月の製品別生産量、小日程は1日〜1ヶ月の現場への作業指示という目安で使い分けます。期間の区切りは企業や文献により幅があるため、自社の更新サイクルに合わせて設定して問題ありません。

Q3. MPSとMRPの関係を簡単に教えてください

MPS(基準生産計画)は「何を作るか」を決め、MRP(資材所要量計画)はその実現に「何が要るか」をBOMから逆算します。MPSが上流、MRPが下流の連動関係で、MPSが固まらないとMRPは動きません。

Q4. MPSとAPSは何が違いますか

MPSは「基準生産計画」という業務上の概念、APSは「その計画立案を支援するシステム」という道具の概念です。APSはMPSと小日程の実行計画の両方を扱う仕組みとして実装されることが多くなっています。

Q5. 見込み生産と受注生産で立て方はどう変わりますか

見込み生産は需要予測を起点に作り置きするため、予測精度が計画の質を左右します。受注生産は注文を起点にするため在庫リスクは小さい一方、限られた納期の中で負荷の山谷をならす調整力が問われます。

Q6. Excel運用のままで限界はどこですか

製品数が少なく、計画変更が週次以下で、担当者が休んでも他の人が回せる、この3条件を満たすうちはExcelでも回ります。1つでも崩れて手戻りが増えたら、システム化を検討する時期の目安です。

Q7. まず何から着手すべきですか

いきなりツールを入れる前に、受注から出荷までの工程を1本書き出し、どこで待ちが長いか(ボトルネック)を確認することをおすすめします。詰まっている工程が分かれば、限られた労力をどこに集中すべきかが決まります。


Delight Flowでは、業務フローの棚卸しからボトルネックの特定、中日程計画の仕組み化、生産計画へのAI活用の見極めまで伴走しています。自社の状況に当てはめて考えたい方に向けて、無料相談を受け付けています。ご相談はこちら

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代表取締役 村田 凌

執筆者

村田 凌

株式会社Delight Flow 代表取締役CEO

外資系コンサルティングファームにて金融会社のサイバーセキュリティ戦略構築支援に従事した後、東京大学にてAIの研究に取り組む。現在は工学系研究科博士課程に在籍。国際論文誌、学会誌での受賞歴を持つ。

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